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本の手帖

読んだ本・好きな本を書き集めた手帖です。

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「喜嶋先生の静かな世界」 森 博嗣

喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)
(2010/10/26)
森 博嗣

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学問の深遠さ、研究の純粋さ、大学の意義を語る自伝的小説

僕は文字を読むことが不得意だったから、小学生のときには、勉強が大嫌いだった。
そんなに本が嫌いだったのに、4年生のときだったと思う、僕は区の図書館に1人で入った。
その頃、僕は電波というものに興味を持っていたから、それに関する本を探そうと思った。
その1冊を読むことで得られた経験が、たぶん僕の人生を決めただろう。
意味のわからないものに直面したとき、それを意味のわかるものに変えていくプロセス、
それはとても楽しかった。考えて考えて考え抜けば、意味の通る解釈がやがて僕に訪れる。
そういう体験だった。小さかった僕は、それを神様のご褒美だと考えた。
講談社創業100周年記念出版


この著者の本を読むのは初めてです。
今まで何度も手にとったことはありました。
ただ著者が工学博士ということで理系苦手な私が反射的に避けていたのかもしれません。
なんとも情けない理由だとは思うのですが(苦笑)
でも今回のこの作品に関しては新聞で書評を読み凄く読みたくなり
図書館にリクエストしたほどでした。
分からない事、知らない事を自分で調べて考え、分かった時の嬉しい気持ち、
大人になった今はなかなかそういう気持ちを味わうことができない。

主人公は理系大学生から修士課程、博士課程へ進み
そこで喜嶋先生と出会った。
喜嶋先生は研究者として高く評価されながらも助手という立場で
常に研究者を貫き通そうとされた方。
そんな先生を尊敬、憧憬・・理想とする主人公。
学問の楽しさ、奥深さを知り、そして真摯に学問と研究に向き合った。
その日々が静かに語られ理系が苦手な私でさえも(苦笑)
その世界に入り込んでいった。

しかし研究を重ね、年齢を重ねるにつれ、ずっとそのままではいられなくなってくる。
結婚をして子どもが生まれ生活する、守るべきこともできてくる。
主人公は時を経て助教授になる。
研究者から離れかつての喜嶋先生を想う・・・。
幸せな時間を・・・。
最後の展開がとても印象的だった。

自分の好きな世界を見つけられることは凄く幸せなことだと思う。
ただその世界だけに入り込むことは
幸せなことだと思うと同時に少し恐いことなのかもしれない。



“学問には王道しかない。
それは、考えれば考えるほど、人間の美しい生き方を言い表していると思う。
美しいというのは、そういう姿勢を示す言葉だ。
考えるだけで涙が出るほど、身震いするほど、ただただ美しい。
悲しいのでもなく、楽しいのでもなく、純粋に美しいのだと感じる。
そんな道が王道だ”(本書より)

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