小劇団「シアターフラッグ」―ファンも多いが、解散の危機が迫っていた…そう、お金がないのだ!!
その負債額なんと300万円!悩んだ主宰の春川巧は兄の司に泣きつく。
司は巧にお金を貸す代わりに「2年間で劇団の収益からこの300万を返せ。
できない場合は劇団を潰せ」と厳しい条件を出した。
新星プロ声優・羽田千歳が加わり一癖も二癖もある劇団員は十名に。
そして鉄血宰相・春川司も迎え入れ、新たな「シアターフラッグ」は旗揚げされるのだが…。 有川さんの作品、今回も面白かったです。
「三匹のおっさん」同様、甘めのストーリー要素はあまりないけど(少しだけ・・・)
それでも充分楽しめました。
いじめられっ子だった巧の昔からの遊び友達は兄の司だった。
喋ることも少なく人見知りだった巧を心配して
母は演劇のワークショップに兄と一緒に通わせることにした。
そのワークショップで思わぬ才能を開花させた巧・・・
いつも兄の司を頼りにしてる巧、
きつく突き放しながらも実は「シアターフラッグ」のいちばん熱心なファンだったりする司、
そんなふたりのやり取りが凄く微笑ましくて好き。
弟同様、劇団員にもゲキをとばしながらも
温かい目で見守る司のひと言、ひと言もいい。
「シアターフラッグ」、巧と司、
その中に入り込んだプロの声優で芝居は始めてという千歳がおこす化学反応も
面白かった。
意外な結末がまた次へのステップにもなり更に逞しくなるのか・・・
是非とも続きが読みたいと思ってます。
「人間が何かを諦めるのに必要な条件って分かる?」
解答を待つ表情になった千歳に、司は笑った。
さぞや意地の悪い顔になっているのだろうなと思いながら。
「全力でやって折れることだよ」2010・2 読了
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