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本の手帖

読んだ本・好きな本を書き集めた手帖です。

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「WILL」 本多孝好

WILLWILL
(2009/10/05)
本多 孝好

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18歳のときに両親を事故で亡くし、家業の葬儀屋を継いだ森野。29歳になった現在も、
古株の竹井と新人の桑田、2人の従業員とともに、寂れた商店街の片隅で店を経営する。
アメリカに住む幼馴染の神田とは、時折電話で話をする
かつて甘美な関係を築いた彼との今後については、彼女自身が結論を先送りにしたままだ。
日々淡々と、社長としての務めを果たす森野のもとに、仕事で関わった「死者」を媒介にした、
数々の不思議な話が持ち込まれてくる――。



高校卒業前に事故で両親を亡くした森野。
喪主とも言えず、訳のわからないまま両親の葬儀を執り行い、
そのまま家業の葬儀屋を経営する。
「MOMENT」の続編である本書は、神田の幼馴染の森野の視点で描かれ
前作から7年後の設定である。

森野は両親が切り盛りしてきた頃からの古株従業員の竹井と
元バンドマンだった新人の桑田の二人の従業員とともに葬儀依頼の仕事の
電話を日々待っていた。
そんなある日、以前葬儀を行った家族から相談事を持ちかけられた。

葬儀屋の仕事は亡くなった故人の思いを受け止め、送り出す仕事ではあるが
森野は残された人の思いも受け止め、相談事をいろいろ解決し
残された人が先に逝った人の思いに気付いていくことになる。

森野自身も人の死に向かい合うことで少しずつ変わっていき
そんな彼女を幼馴染の神田は大きな心で見守り、竹井は支えていく。
寂れた商店街で静かに仕事をしてひっそり暮らしているかのようにみえたが
実はいろいろな人達に支えられ、温かく見守られていた・・・
エピローグではそれがわかり読んでいる側もとても温かい気持ちになった。
ただ、
神田があまりにもカッコ良すぎて出来すぎ感は少しあるけど
でも最後はとても良かった。


物語の途中で「WILL」の意味について語られる箇所がある。

森野がまだ中学の時の父との会話 

「このときのウィルってのは、意思のことなんだぞ。知ってたか?」
英語の宿題に頭を抱えていた私に向かって、得意そうに教えてくれたのは父だった。
「そのウィルが未来を表すってことは、だから、あれだ。
未来ってのは、いつだって意思と一緒にあるってことだな」
                         「爪痕」


WILLというのは、「意思」という意味と「未来」という意味をもつ。
その意味は最後の最後でわかることになる。
とてもいい最後だった。


「MOMENT」と「WILL」を続いて一気に読んだ。
生と死
そこにはなんともいえない深い溝があり、なんとも心細い思いにとらわれる。
でもこの2冊に共通していえるのはその溝を静かに見守り
優しく温かい気持ちにさせてくれる。



「お骨を拾ってください」
竹井が静かに言った。
私は目を閉じた。思い出せるだけのすべてを思い起こした。
すべての言葉。すべての表情。
すべての動き。すべての情景。
分け隔てられない曖昧な記憶が頭の中で渦になった。
巡り巡る渦が動きを止めることはなかった。
ああ、と私は思った。
残せばいいのだ、と私は気づいた。燃え尽きることのない思いはこの世に留めて、
この世に残ったものがしっかり拾えばいい。
         「空に描く(REPRISE)~エピローグ」

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[ 2011/11/21 10:16 ] は行の作家 本多孝好 | TB(0) | CM(0)
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